2025年3月通期は減収減益も業績回復見通し、引き続き高配当も魅力

現地コード 銘柄名
01929

周大福珠宝集団

(チョウ・タイフック・ジュエリー)

株価 情報種類

12.28HKD
(6/13現在)

株価
企業情報
チャート

 香港系の宝飾品製販大手、周大福珠宝の2025年3月本決算は、純利益が前年比9%減の59億1,600万元。金価格の上昇による粗利益率の改善で、市場コンセンサス予想を7%上回った。また、既存店売上高も改善傾向。BOCIはその理由として、現在の景気動向を受けた金需要の高まりと、金製品の固定価格での販売や店舗生産性の向上に焦点を当てた戦略が奏功した点を指摘し、続く2026年度(2026年3月期)には売上高が緩やかに回復する見通しを示した。同社経営陣によれば、2026年度には金価格の変動やヘッジ損益の影響が前年度より小幅にとどまる見込みという。BOCIは高配当性向という魅力に言及し、同社株価の先行きに対して強気見通しを継続している。

 2025年3月通期の売上高は前年比18%減の897億元ながらも、BOCIの予想を4%上回った。金価格の高騰や製品構成の改善で通期の粗利益率は29.5%と、2015年度以来の高水準を記録。営業利益率も16.4%と、前年比で4.1ポイント改善し、経営陣が事前に示したガイダンス(2-3ポイント改善)から上振れた。こうした要因から、金ヘッジ関連の損失62億HKドルを計上しながらも、通期の純利益は9%減の59億1,600万HKドル。2024年後半以降の金価格の上昇トレンドが、粗利益率の改善だけでなく、過去数四半期にわたって低迷した消費者の金購入意欲を刺激する結果となった。

 2025年4-6月期には既存店売上高がさらに改善している。4月1日-5月末の小売販売額は前年同期比1.7%減。減少したが、金価格の先高期待もあり、前四半期(11.6%減)から下げ幅が縮小した。他に人気キャラクターとのコラボや新デザインシリーズの投入など、製品ラインアップの見直しも購買意欲を刺激した要因。一方、同社は2026年度前半も不採算店の整理を継続しており、BOCIは2026年3月通期決算への好影響を見込む。

 経営陣は金価格が1オンス当たり3,200-3,400米ドルで横ばいに推移するとの想定の下、2026年度に前年比1桁台半ばの増収を予想。粗利益率と営業利益率については各0.8-1.2ポイント、0.6-1ポイントの縮小を見込む。金価格の変動により左右される可能性が高いものの、BOCIはより慎重な想定の下でも、既存店売り上げの改善とヘッジ損失の縮小が寄与し、純利益は前年比55%増加すると予想。配当性向の維持に寄与するとみる。

 BOCIは2026年度、2027年度の予想純利益を各23%、調整後純利益をそれぞれ13%、19%増額修正した。2025年度業績の予想上振れや、コスト、営業レバレッジに関する想定値の上方修正が理由。2026年度予想株価収益率(PER)15倍を当てはめて目標株価を引き上げ、株価の先行きに対して強気見通しを継続した。金価格動向と事業戦略の実行により、同社の業績は回復軌道にあるとの見方。また、2025年度の配当性向を87.8%に引き上げる同社方針(2024年度は84.6%)を前向きに評価し、直近株価に基づく2026年度の予想配当利回りは6.4%と、依然魅力的な水準にあるとしている。